Toryval STAGE 2026 旭川実業・富居総監督が語る「氷点下の日常。逆境をタフさに変える」旭実の真髄

高校サッカー

2026年1月14日、全国高校サッカー選手権大会・準決勝。晴天に恵まれた浦和駒場スタジアムだったが、スタンドの隅や日陰には数日前に降り積もった雪が白く残っていた。試合開始前、スタンドの雪かきに精を出すスタッフの姿があった。雪に馴染みのない人間にとってこの雪は「非日常の障害」であり懸命に排除すべき対象だ。

しかし、雪は「生活の一部」であり、ともに生きる日常そのものである。旭実サッカーの礎を築いた富居撤雄総監督が、新チームの歩むべき道を熱く語ってくれた。

「バスケットボールコート1面」から始まる全国への

旭川の冬は過酷だ。11月頃から3月中旬までグラウンドは深い雪に閉ざされる。練習場所はバスケットボールコート1面分。その限られた環境から、なぜ旭川実業は全国の強豪と渡り合えるチームを送り出し続けられるのか。Toryval STAGE 2026のピッチ脇でチームの礎を築いた富居総監督が、新チームの「現在地」と「雪国の哲学」を語った。

環境を言い訳にしない「雪国のメリット」

「旭川の冬は、30人が週に数回、バスケットボールコート1面を使えるかどうかという環境なんです。」富居総監督は穏やかながらも力強い口調でそう切り出した。11月頃から3月中旬まで旭川のグラウンドは数メートルの雪に覆われる。通常の11対11の練習など望むべくもない環境だ。「雪があるから何もできない、と言い訳をしちゃうと何もできなくなる。逆にそれをメリットにしていかなければならないんです。」狭い室内での練習は、図らずも「個の技術」と「狭い局面での判断力」を極限まで磨き上げる。そして、その制約が選手たちの「芝の上でサッカーがしたい」という強烈な飢えを生んでいく。

大学サッカー界も驚く「旭実出身者のタフさ」

旭川実業の選手たちは、冬の間、遠征を繰り返す。今回取材した「Toryval STAGE 2026」もその一環だ。「選手たちは2週間くらいの遠征は普通にこなします。どこへ行ってもコンディションが変わらない。それは大学へ行った後も、スタッフの方々から『旭実の選手は本当にタフだ』とよく言われるんです。」その「タフさ」を裏付ける事実が、大学サッカーの祭典にも表れている。今年の「第40回デンソーカップチャレンジサッカー刈谷大会」では旭川実業の卒業生たちが各地域の選抜メンバーとして名を連ねている。

・北海道選抜
FW/清水彪雅(札幌大学)、FW/和嶋陽佳(北海道教育大学岩見沢)、MF/樫山一生(札幌大学)、DF/斎藤尽(札幌大学)

・東北選抜
FW/柴田龍牙(八戸学院大学)

・北信越選抜
GK・杉谷日向(北陸大学)

長丁場の大会期間中、移動距離の長さや環境の変化をストレスではなく「当たり前」として受け入れられる姿勢は、過酷な雪国での日常が生んだ最大のメリットといえるだろう。

プレミアでの「守備の規律」をベースに

新2年DF 中島 翔樹 (DOHTO Jrユース)

新2年GK 庄林 凛太郎 (根室市立光洋中)

期待の新戦力。早川のセンスとオニブチジデオフォーのポテンシャル

始動したばかりの新チームについて、富居総監督の口からは具体的な期待が語られた。

中盤で流動的に動き、ボールを供給するセンスを見せるのは、新2年のMF 早川來唯(北海道コンサドーレ旭川U-15)だ。「選手権予選も1年生から経験している。この実践を通してもっと伸びてほしい」と、チームの心臓としての成長に期待を寄せる。また、怪我を乗り越えてチャンスをうかがう新3年のFW オニブチジデオフォー太郎(湘南ベルマーレU-15)についても、「経験値はまだ少ないが、経験を積んでいけば面白い存在になる」と、そのポテンシャルに注目している。

「言い訳をしない」そのシンプルな言葉を胸に、彼らは再び雪と共に歩み出す。グラウンドの雪が解け、本当の春が訪れる頃、彼らは「Toryval STAGE 2026」で積み上げた「実戦と挑戦の記憶」を武器に、再び全国を驚かせるはずだ。

Photo&Text: FOOTBALL PHOTO PRESS/Mie Ayuzawa

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